峠恋しやの鐘(軽井沢の民話)
軽井沢の峠の熊野神社拝殿の入り口にある鐘の話。
この鐘はむかし中山道の松井田宿から
献上されたものだといわれているが、
鐘をつくるときに、金をたくさん混ぜたものだから
音もよくて、
それだけに、みんなが注目されておったそうな。
その噂を聞きつけた海賊がやってきて盗み出したはいいが、
重くて重くてつい下の平まで運んだものの、
困り果ててしまったと。
そこでしかたなく、
泣く泣く雲場の池に、
よいこらしょと投げ込んで、
それからあとのことを考えることにしてそうな。
そうしてしばらくすると、池のそばを人が通ると、
「峠恋しやゴーン」
っていう鐘の音が池の底から響いてきて、
「あれまあ」
というわけで、
鐘が発見されて、
またもとの神社にもどされたそうな。
(信州民話伝説集成 東信編)
向かいのしげの屋は群馬県と長野県の境にあります
鐘を投げ入れたとされる雲場池
紅葉の時期や新緑の時期はおすすめです