青木村の民話と伝説 沓掛の石芋
むかしむかし、弘法大師さまが旅の途中、
沓掛村を通りかかりました。
ある日、お腹をすかせた大師さまが村人に食べ物を求めると、
ばあさんが「この芋かいね。堅くて堅くて食えるもんか」
とつっぱねました。
大師さまは「じゃあ、まるで石のようなものかなぁ」とつぶやくと、
ばあさんは「ああ、そうだ」と言ってぷいと横を向いてしまいました。
大師さまは黙って遠くへ行ってしまいました。
さて、ばあさんが家に芋を持ち帰り、鍋に入れて煮ようとしましたが、
いくら煮ても柔らかくならず、ちっとも食べられません。
ばあさんは、音を上げてしまった……
それからというもの、この土地では芋を植えても、
土の中から出てくるのは食べられない石のように堅いものばかりになったそうな。