泰阜村の民話 足神様

泰阜村の田本の道端に足神様が祀られている。

むかし、遠山家の殿様が百姓一揆に遭い、

一族ことごとく逃げのびた。

奥方も慣れぬ足に茨を踏み分けて、

ようやく泰阜村の田本まで辿り着いたが、

足の痛みに耐え切れず、

ここへ倒れてしまった。

男の人々が懇ろに介抱してやると、

奥方はたいへんに喜び、

立ち去るとき、

「この後、もしも足を病む人があったらなら、

今日のお礼にきっと治して進ぜましょう」

と言ったので、里人たちはそこへ祠を建てて、

足神様を祀ることになった。

足の病にはよく効くというので、

そこにお参りする人が多いという。

(信州の民話伝説集成南信編より)

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