駒ヶ根市の民話と伝説 美女ヶ森の御陰杉
日本武尊が東国の蝦夷らを平らげ、
みすず刈る信濃国を帰国の途中、
この赤須の里に立ち寄られた。
この地の「ひとのかみ」赤須彦は、
御陰杉の木のもとに仮宮を設け、
尊をお迎えし、
山・川・野の物を採って精いっぱいもてなした。
尊はこれを喜ばれ、赤須彦の名をほめたたえて御食津彦と名づけられた。
日本武尊が休まれたとき、小さな石があって、
手をお掛けになったので、
その石は「御手掛石」と名づけられた。
また、お食事のときに、
盃を置かれたので、
「皿石」ともいわれている。
後にこの仮宮を神殿に見立てて日本武尊を祀り、
「大御食の社」と呼んだ。
さらに後に、尾張国から宮簀姫の霊を迎え、
この地の名を「美女ヶ森」と呼ぶようになった。
(信州の民話伝説集成より抜粋)